日別アーカイブ: 2013/10/11

Price of Arrogance

「よきアメリカが死につつある」

ハーバード大の教授が、TEDで「ロビイストたちに牛耳られた政治」を嘆いていた。草創期から、アメリカが目指してきた「名もない庶民による共和制」が、ロビイスト政治にとって替わられている、と指摘している。アメリカの民主主義にfundamental doubtが投げかけられている。アメリカのデモクラシーが死にそうだ、と教授は嘆く。いつの間にか、民主主義までもが遺伝子組換えではないか、と。

「正義はあるのか」

「justice」といえば、サンデル教授。Market-driven-societyの行きすぎを、サンデル教授は嘆いている。サンデル教授の嫁さんはハルさんという。「春よ、こい」と日本では唄う。アメリカモデルとは市場主義である。ソ連が崩壊して、世界が市場主義一辺倒になった。市場主義がもたらす格差社会から生じる問題が広がっている。

「君たちだって、親が金持ちだったから、ハーバードに来られたのではないか」

と、サンデルは学生に問うている。純粋な能力勝負ではない、という。結局、金持ちが有利な世の中、どこが「justice」なのか、と問うている。ホームレスの老人が、「おれはどうしたらいいのか」、サンデル教授に質問してくれ、と言っていた。

「Winners take all。だから、全部、奪ってしまおう。俺のものにしよう」

一番強い者がぜんぶ奪っていい、というモデル。アメリカが主導した市場主義は、勝ち組に巨万の富をもたらす一方、負け組は失業し、人生が台無し。世界のLion’s share時代の幕開けからもう数十年。price of arroganceがじわじわきている。このモデルの世界では、人間の群れは、羊の群れよりみじめなもの、に映る。

「使い捨て時代、人間も使い捨て」

人間は経済の道具になった。「一番か、二番でなければダメ」だというロジックが、経営原則になり、リストラと事業買収がくりかえされ、会社さえ商品になった。米国の流れに、日本企業も右へ倣え、終身雇用制は崩壊した。リストラがひと段落つくと、次は派遣制度が施行された。

これによって、under class peopleが法的に成立した。いくら努力しても報いられない労働者の群れが生まれた。Price of politicsはいくらだろうか。 派遣社員が、正社員と同じような仕事をしても、いつでも切られる。

派遣社員は、経費削減に貢献するとともに、リストラのバッファーとしての役割を担っている。派遣会社の最大手は欧米企業だが、日本にも多くの派遣会社が誕生した。Price of inequalityは、いくらになるか。いまのところ派遣社員が集まって、会社を作るという話も聞かないし、いっせいに辞めるという話も聞かない。臨界点には達していない、ということか。Price of managementはいずれ高くつく、のではないかと思うのだが。