日別アーカイブ: 2013/10/01

Healthy Skepticism

フランス生まれのミシェル・フーコーが、批判精神こそ、権力に服従しない知性であり、自立に不可欠のものだ、と言っている。自立できない人間は、子供のままであり、他人の言いなりになる。こういう他人依存の人間が多い社会は、危険である、というのだ。

ブエノスアイレスのIOC総会で、安倍首相が、フクシマは「the situation is under control」とスピーチして、見事に東京が開催地となったが、「コントロールできないじゃないの、安倍、嘘つき」と、東電の専門家や知識人、そして福島の現地住民から、「wrong(ちがう)」「wrong」「wrong」のブーイングが起きた。これは、healthy skepticismだ。

東電の社長は、「首相と同じ」と答えたが、深読みすれば、「首相はwrongかもしれないが、立場上、首相と同じである、ということにする」ということである。これは不健康である。優秀な人の顔というのは、それなりの知性が見えるが、天才の顔はバカに見えることもある。東電の社長の顔を見ていると、三流芝居を打てる人物のように見受けられる。だが、それはやはり不健康である。真の天才は相手にあわせているわけではないからだ。

healthy skepticismは、リスクマネジメントの大切な要件だと思う。「なにか、おかしいな」、「どうも、ひっかかるな」と、心のどこかで感じたら、それは、naturalで、healthyな、直感的な知性であり、そこを追求する事で、危険のありかを明らかにすることができる一方、「まあ、いいか」と妥協したり、せこく立ち回って誤摩化したりすれば、大きな事故につながる。もっとも大きな事故とは、自分の頭が不健康になることである。